挫・人間 blog


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僕はいつも無理してる

また通り魔の話題となると、どんだけ通り魔といるんだって思われて不愉快なんです。
まあGW中、そんな通り魔が地元で成人式をやったらしくて、僕はGW中、漏れなくウンコおしっこしかしていなかったので、彼がホームベーカリーを同窓会のビンゴで当てたことは知っていた。
でも通り魔のあいたかった女の子に会えなかった上、久しぶりに会った同級生はしっかりとハゲてて、3日寝込んだらしい。
「通り魔もそうなるだろうね」

「なりたくないよ」

「地元はどうだったの」

「居場所がなくてつらかったよ…。同窓会の二次会も最悪だった…」

「なんで?」

「カラオケ行って、みんなセックスしたいんだってのが伝わってきて…」

実のところ僕も正月に成人式があったときは地元である熊本に帰っていて、小学校のクラスの同窓会に呼ばれたので浮かれて行ってしまった。
小学校の同級生は、僕が中学受験したばっかりに小学校卒業以来誰とも会っていなかった。

「うわ、下川くん変わったねえ」

そう言われる場合を見越して、それに対する「いや~」だなんてリアクションを考えながら、向かった。
お酒が苦手だとは彼らには言えない、なんて思った。

「うわ、下川くん、変わったねえ」

「あ、いや、そうかな、ウヘヘヘ」

案の定変な感じになってしまったけれど、僕は遅れて来て、みんなはお酒を飲んで少しいい塩梅だったから誰も気にしなかった。
小学校のころとても仲が良かったタジリくん。ヒガシくん。
給食の時間タジリくんに笑わされて、僕の吹いた牛乳の餌食になった小山さん…。コマキくん…他にも沢山いた。

「下川くん、バンドやってるんでしょ。知ってるよ」

「え、本当?恥ずかしいなあ」


「えーっ、下川くん、バンドやってるの?」

「そ、そうなんだよ、東京でね。フフ…」

「すごいねー。わたし、ミスチルとか凄い好きだよ!」

小山さんは昔僕に牛乳をかけられて泣いた。僕はその泣いてる小山さんをみて、申し訳なくて情けない気持ちでいっぱいになったのを思い出した。というか生活の節々で思い出すことだった。完全にトラウマだったと気付いた。
同窓会の前日に寄書きで同窓会参加メンバーのデータは把握済みだった。
彼女へのコメントは「バレーがんばれ」が八割で、それが僕にはかなり好印象を与えていた。
ちなみに僕は「バレーメチャクチャがんバレー」と書いてて死にたくなった。
しかしそんな僕とは裏腹に小山さんはとても綺麗になっていて、元気がよくて、僕の牛乳を吹きかけた思い出は、とても大切な思い出になった。

「そんなの、全然気にしてないのに」

「いやぁ、あのときは本当ごめんね」

小山さんは、よく覚えていないけれど、その辺で先生とかと話し始めたような気がする。

「えっ、下川くんって、閃光ライオットでてたの!挫・人間…?はちょっとわからないけどSHIT HAPPENINGとかxxズとか、好きだったよー」

「あ、そうなの?僕、xxズとはよく一緒にやってるよ。こないだもやってきたばかりだったし…」

「えっ、すごいねー!じゃあなんか有名なのとか一緒によくやるの?」

「OKAMOTO’Sとかよく仲良くしてくれるよ。一緒にやったことはないんだけど。あと知ってるかどうかわからないけど、モーモールルギャバンとか一緒にやったよ。」

「えー!すごい!わたしモールル超好きだよー!すごーい!本当すごーい!」

僕はこのとき、ハッとして、飲めないお酒を次々に流し込んだ。体の中に残ってる僕自身を少しでも薄めたくて仕方なかった。

「下川くん、小学生のときと比べてすごい痩せたよね。それでバンドも有名なんでしょ?モテるでしょー絶対。」

「いやー、実際毎日モテすぎて泡吹いてるよ。火傷しますよ、本当。毎日ホテルの窓からテレビ投げてるもん」

「? どういうこと?」

「いや、なんでもない…。とにかく僕はバンドを始めてから、人生が超ヨユーなんだよね。バンドも簡単にうまくいってさ、誰でもできるんじゃない?バンドでこのくらいさ、本当だよ。今?今はギターが無いから無理だよ。カラオケとか音ゲーって、バンドしてるひとには逆に難しくてさ…。え、OKAMOTO’S好きなの?…そうそうそうだよ。レッチリのね。Give it awayって曲だよ。すごい綺麗なレコーディングスタジオだったよ。民生とかも使ってたんだってさ。うちのバンドはリズム隊が優秀でね、あ、リズム隊っていうのはドラムとベースのことね。それに僕が乗っかるってな感じなんですけどね。あ、CD?売ってるよー。熊本だと、ミュージックファームって楽器屋さんと、スミレっていう、並木坂のとこにあるオシャレな美容室だよ。うん。どっちもすごく良くしてくれるんだよ。今度いってみてよ。中学?中学は全然何もしてなかったよ。高校はもうバンドばかりだったね…全然勉強しなくなっちゃってね。はは、中学受験した意味ないよね。高校の友達よりも、バンドで仲良くなったひとと遊ぶ方が多かったよ。だから高校時代の友達って、本当にいないんだよね。閃光ライオットっていうのはね、スクールオブロックってラジオ番組があって、まあ、僕はあんまり聴いてないんだけど…そうそう。僕のときはやましげ校長だったよ。うんそれでカリカの家城教頭だったよ。二人ともすごいいい人だったよー。ビークルのひととか、ベースボールベアーの小出さんとはそこで初めて会ったんだよ。一万人くらい入ってたらしいね。でもあんまり覚えてないなー。番組が用意してくれたホテルに引きこもってた気がするよ。なんかこないだインタビュー受けたときに、ミニコミだけど二万字?とかのインタビューになったよ。楽しかったよ。え、誰か有名なひと紹介してって?はは、それは無理かな~…え、仲良くやってるよ、本当に。でもそういうのってあっちが困っちゃうからさ、うん、本当ごめんね。でもなんか機会があったら紹介するよ。はははははは。あ、そういえばこれは僕の友達の話なんだけどさぁ…」

僕はどんな顔してこんなバカみたいな話をしていたんだろう。死んでしまえ。と、思った。この同窓会は4年生のクラスの同窓会だから、みんなに会うのはほぼ十年ぶりで、その間に女は美人になり、男はより強そうになって、とても変わっていた。
僕はというとこれだけべらべらと喋っておいて、自分について話せることが一つもなかったんだ。なにひとつとして、自分の何を、僕はいったいなんなのか、彼女らにもわかるなにかを伝えられるだけのものが、僕の中からひとつもみつからないんだ。
それどころか友達や、知り合いのぼんやりとした話ばかりで、それを聴いた昔のクラスメイトはすごいねすごいねと僕の話を聴いてくれて、なんだか、僕がいい気になったけれどもそれは決して僕に対しての称賛なんかじゃなく、僕の友達を、僕の周りにたまたまいる人たちに感激しているのだ。
バカみたいだな。自分の昔の友達は、誰それと知り合いなんだよ~なんて話したりするかい?だからどうしたってそれだけだろう。そんなこと、最初からわかってるだろ?どうでもいいじゃないか。おれは永遠におれから逃げられおれのままでおれはすごいそいつにはなってやれないんだぜ。おれ、君が自慢できる友達じゃないんだよ。凄い友達がいるってだけなんだ。君が自慢できるような友達に、なりたかったよ。どうか、叶うならね。そのおちょこ程度の、水滴で満腹になるような自尊心を、僕は何杯分でも満たしてやりたかったさ。僕が僕の友達だったらよかったんだ。君もお酒の席で僕と同じように話してくれてもよかったじゃない。僕の友達の話は、僕がその友達みたいになれたら君にも胸はって話せたのにさ。本当、残念だよ。

僕は嘔吐した。別に友達のことはすきだし、僕は僕の話のタネにされてる友達も、それを聴く友達のことも、一切恨んだりはしていなかった。ただ自分が情けなくて、
僕は単純に、十年会ってないんだから、どんな風貌だって、十年分、なんらかの悲しみに打ちのめされる経験だったりがあるはずだ。なんて思ってた。でも僕はダメになりすぎていて、それはもう取り返しがつかなくて、虚しかった。ゲロはもう飲み込んでも惨めなだけだ。ただダメな自分に酔いしれちゃいけないんだ。カッコつけちゃダメだ。僕は凄い友達の友達みたいな、よくわからないやつになって、十年、会うのちょっと楽しみにしてたけど、あと十年後に、あー、なんか凄い友達いた下川くんね。全然名前きかないけどなにやってるんだろうね。やっぱりバンドやって生きていくなんて、やるもんじゃないよね。子供とかがはじめたらさ、高校卒業したら辞めるように言わなくっちゃね。こわいよねー。まあ、それを教えてくれただけでもたいしたやつだったよね。感謝しなくちゃね。今なにしてるのかなー。なんかさみしいね。
なんて風に思い出して頂ければ、僕は大いに満足です。親も僕を可愛がった。誰だってあなたはすごいわと言われれば、すごいんだ!って思える頃から、段々、ああ、おれはなんでもない、ただの村人Aだったんだ。でも何度も同じこと喋ってるだけでなんとなく生きていけるんだったらいいよな。人生にはそんな望んじゃいけねェヨな。なんて風に思うものだけど、僕は本当、村人にもなれず、朽ち果てていくしかないんだ。泥をすすったんだ。ゲロを吐くのは当たり前だ。未来の皆さんの子供の、なっちゃいけない大人への階段を少しずつ登っているんだ。

僕は口をゆすいで、すこしスッキリとした気持ちになって、席に戻ると、向かい側で男と小山さんが隣に座って話していて、お酒をのんでいた。
男が他愛ない、消費されつくしたような笑い話をして、mixiのコラムでみたようなさりげないスキンシップをとっていた。
その笑い話もスキンシップも、ただ公式に則った一つの作業であって、女の子は今まさに、道具として消費される儀式を受けていた。誰もそれに気づいていない。奴ら中途半端に大人ぶって、人間てそんなもんでしょ?昔のことはどうにもならないんだから、気にしないのが一番だよ。気持ちを入れ替えて今を生きるぜ、なんてバカ極まりない戯言をぬかしやがってアホ糞、死んでしまえ、おれもおまえも、おれみたいなやつも、おまえみたいなやつも、消えてなくなってしまえ。
だって君ら、小学校でそんな仲良くなかったじゃん。中学は僕、君らと違うから、そこでなにがあったかは知らないけれど、同窓会で、久しぶりだから、喋ってるんだろう?
あのとき君ら、性欲なんてなにもない本当の純粋な気持ちで同じクラスにいたんじゃない。
君らが最も憎むべき薄汚い性欲を向けずに関わってきた、数少ない人間が僕や君らで、打算だとか汚い大人のやり口で犯しちゃいけない、尊いものなんだよ。君が本当に性欲ゼロで関わることがある人間は、今後おれたちの人生にはありえないんだぜ。それをおまえは一時的なその場の雰囲気や、身内への自慢のタネにするためだけに、それを犯したっていいって言うのかい。
そんな、昔馴染みの友達を、今になって、持ち合わせの感情で関係を消費・清算しようだなんて、馬鹿げているよ。

僕の寄書きには醜く太ったダブルピースの僕の写真を中心に沢山のコメントがあった。
「またゲームやらせてね」「ゲーム上手だね」「漫画かくの上手くていいね」「漫画たのしみにしてるね」


…。


「それで、ビンゴ大会でホームベーカリーを当てて、ハゲの同級生に会って、どうしたの?カラオケ行ったんでしょ?」

「そう…でもなんかみんな、セックスが目的なんだなあって、わかる感じでつらかった」

「まあ元々同級生だったやつ同士の、そういうの見ると気分悪くなるよね」

「うん…。それで、2人組くらいでカラオケ抜け出すやつとかもいてさ」

「わーー、それ、絶対やってるね。十年たって大人になったお互いを確かめあってるよ。たぶん、小学校のころお前のこと好きだったぜとか、嘘ついてやってるよ」

「ああー絶対にそうだー。嫌だったー。つらかったー。」

「でも同窓会なんてみんなそういう目的で来てるんだって、わかってて行ったんでしょ。通り魔の好きだったこも、通り魔の強い気持ちなんか気にせず、ドッヂボール強かった男の、その場の気分みたいな気持ちで、体許したりしてるかもね」

「うわーー最悪だ。そんなこと、あっていいのか」

「うちのところではたぶん、なかったけど、途中から記憶ないから」

「ゲロ吐いたんでしょ。絶対嫌われてるからね」

ウヘヘと笑って、大学から帰ることにした。僕は同い年のひとと比べて、やっぱり背が低くて、どうしても周りに比べて子供っぽいなって思ってしまう。見た目だけじゃなくて中身もきっとそうなんだ。
僕らは僕らが大切にしている何かを消費していく悲しさに気づけないようなバカになっていく義務があるんだと思う。鼻歌を歌った。
僕はいつも無理してる。僕はいつも無茶してる。君のことが好きなのさ。君は僕を好きかい。君は僕を好きかい。

ハゲの同級生が、将来、スーツ姿で僕のバンドのライブをみにきても、僕は誰よりもかっこよく、あの日みたあのバンドみたいに、夢見たあのころ、思い描いてたような姿で僕は演奏できるのだろうか。

「がんばれよな。おれ夢諦めちゃったから、お前ががんばってくれるとうれしいよ。」
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