挫・人間 blog


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気がふれても彼女と歩いてた

僕は8.4くらいから実家熊本に帰省していた。空港を出ると熊本はクソの香りが充満し、盆地特有の湿気がムワッと僕を包んで、しかしそれでも不快を感じない程僕のこころは弾んでいた。久しぶりのふるさとに帰ってきたということもあれど、なにより今回の帰省で挫・人間のワンマンライブを出来るのが僕はすごく嬉しかったのだ。

実家では五歳になる妹が僕を待っていて、僕の周りをくるくる回りながら楽しそうにしている。新しいオモチャ、新しい友達、新しいダンスの話を僕にして、僕は両親の手前「へぇ」「そうなんだ」くらいにしか返せず、妹の方が大人なんじゃないかと頭を抱えた。

熊本にも友達が何人かいて、そのひとたちはほとんどみんな年上だけど僕にとってとても大切な人たちだった。
僕はそのひと達や、数少ない同世代の友達に、おれは東京でバリバリやっていて、オールオッケーなんだぜというところを見せなくてはならなかったのだ。

髪を切ったり、友達とごはんを食べたり、街の変化に慣れない僕を置いて行くどころかやさしく手をひくようにみんな数年前のように僕を受け入れてくれた。
でも僕はこの熊本という場所に多くのものを置き去りにしてきていて、それが、僕を今でも苦しめ続けていた。僕はその正体がずっとわからずに悩み続けていたけれど数ヶ月前にピンときたのだ。おれはあそこに、17歳のおれを置いてきたのだ。

僕は幼稚園の頃から近所に住んでいるある女の子のことが大好きだった。これが初恋なんだなと、今ではそう思う。
小学校に上がり、中学受験を経て学校が変わってもそのひとのことが好きだった。超デブのくせに、その子と手を繋ぎたいとか、ゲームを一緒にしたいとか、アイス一緒に食べたいとか、こたつに2人で入りたいとか、一匹の猫を飼ってみたいとか、喧嘩したいとか、一緒に年をとっていきたいとか思っていたのである。僕は中学に入学してからその子に会うことはほとんどなくなってしまった。小学生のころのまま、デブで子供な僕を尻目に地元の同級生達は思春期を正しく迎え、いっぱしにグレたり、付き合ったり、ときにはまんぐりがえったりしていたらしい。
僕は残念ながら、思春期を迎えるには心も身体も未熟すぎて、盆栽のようにグニャリと曲がった思春期を迎えてしまった。僕は何も変わらず身長も低いままで、大人になっていく同級生達をみて、「僕がこんな風に君のことを考えているときに、君は僕のことを一秒でも思い出すだろうか。それとも今では大人の恋をして僕を忘れただろうか」と毎晩眠れずにいた。僕はちっとも彼女を忘れることができなくて、それ以外の僕はからっぽだった。

17歳のある日僕はあるひとのことを本当に好きになった。たぶん本気で好きになったのだ。たぶんというのは、「初恋のひとのことを忘れるためにその人のことを好きになったんじゃないのか?」「誰かを好きになることで初恋の彼女のことを忘れようとするなんて、僕の気持ちはそんなものだったのか?」
つまり僕はその人にとても惹かれていた一方、初恋のこのことをまったく忘れられなかったのだ。

でも僕は17歳のあの日、初恋の君のことを忘れたフリをしたのだ。おれは君を忘れたと自分に言い聞かせた。おれは君を忘れないと一歩も前へ進めないし、僕は幸せになれないんだよと、僕に言った。
それから数年、僕はその気持ちを押さえつけて、なんとも華のない生活を送っていた。

でも僕は彼女を忘れることができなかった。それは僕のバンドを始める理由が物語っている。僕は、僕は君に気付かれたかったんだ!!!

僕はその昔初恋のこと、何もなく今後会えるかどうかもわからず疎遠になってしまった。
そのすべては僕がデブでブサイクで人気がなくて、卑怯で臭くて友達がいないからだと思ったのだ。
僕が当時ダントツ女子から人気だった野球部の一平くんのようになれれば、こんなことにはならなかったはずなんだ。しかし一平くんのように速く走れるわけもなく、僕はどうしたらいいか悩んでいたときに僕が出会ったのはTHE BLUE HEARTSやSEX PISTOLSというパンクバンドだった。
彼らは僕の心の柔らかいところを実にわかりやすく、大きな力で突き破った。僕は、これだと思った。
オーケンは学生時代まったくモテなかったが、バンドを始めて有名になるとモテにモテまくったという話を聞いて、僕は思った「バンドをやって有名になれば彼女が僕に気付く。僕は彼女が手が届かないほどの存在になって君ともう一度会うのだ」と。

だから僕の歌はすべて君に捧げるラブソングなんだ。何度も諦めたり、たまにズルしたりしたけど、それでも、それでも僕の歌は君に聴こえないと意味がないから、大声を出す必要があるのだ。

それが当時の僕が考えていたことで、今も、まあそうなのである。
僕はワンマン、その初恋の女の子が来るかもしれないという話を聞いた。
僕はもう、どうしたらいいかわからなくなった。実は前も一度僕のライブをみたことがあるのだけど、その頃はもう色々考え、悩みすぎて、おれは忘れたのだ!と自分を振り切ることにしていた。
しかし僕は自分がどういうつもりでバンドやっているのか気づいた今、君が僕の存在に気づいた今、これ以上バンドをやる必要があるのだろうか?と考えてしまった。
だけど僕は当時17歳のおれを、17歳のおれの無念や後悔や悲しみごと、とどめをさすときがきたのだと思った。
僕は17歳のおれができなかったことを21歳になった今、17歳のおれになってやるのだと思った。
だから、もしどう転んでもこれで今までずっと一緒だった17歳の僕とはサヨナラなのだ。そういう意味でワンマンライブはとても重要なものだったのだ。

どっちに行っても僕の歌はすべて君へのラブソングで、これからも同じ目的で歌い続けるだろうと僕は思っています。

ワンマンライブが終了した今、その気持ちはまったく変わらずにいる。僕にとって忘れられないライブになった。忘れないよ。もう忘れようともしない。忘れてたまるか。だから、どうか君も忘れないで。思い出したりしなくてもいいのだから。
僕はとにかく、君が憂鬱だったりするときはステレオのスイッチを押すだけで君のところへいけるし、いつでもどこにでも会いにいくし、なんだってできるんだ。君が僕に気づいたら、僕は君の思い出として君といられることが、僕はうれしい。何もいらない。他にはいらない。
日が暮れても、気がふれても、それでも続いていくんだ。
だから、17歳の僕はとりあえず熊本に置いていく。だけどいつでもいつまでもそこにいるんだ。

僕はきっと死ぬまで歌い続けるでしょう。死ぬまで歌い続けたら、僕が死んでも誰かがきっと僕の歌を歌ってくれるでしょう。
それと同じで僕も君といられるような気になるんだ。
バカらしいだろうか。笑ってくれたらいい。僕がこんなに面白可笑しく生まれたのは君を笑わせるためだ。

こんなに色々書いたけど、その後何事もなくワンマンは無事成功した。
それでも僕はこんなようなことを考えて演奏したのであって、すごくやってよかったと思っているよ。

ワンマンに来て、僕の勝手な儀式というか、そんなものに付き合ってくださった皆様ありがとうございます。僕のやりたいことと、皆様がみたいものがフィードバックすることほど素晴らしいものはないです。
僕はこれからもここ東京で歌い続けるでしょう。すべての僕みたいな、というかすべての僕にむけて、僕のために。
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Comments

共感、尊敬 
忘れようと自分に言い聞かせながらも、彼女に気づいて欲しい・・・
めちゃくちゃ死ぬほど共感です。
僕も叶わぬ恋をした中学時代ずっとそうでした。

下川さんにとってのブルーハーツは僕にとっての挫・人間です!!
 
うおおお、嬉しい…。
ありがとうございます!

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